2024年上期 首都圏競売物件、入札本数が減少し価格は下落傾向に

2024年上期 首都圏競売物件、入札本数が減少し価格は下落傾向に

■概況
最近10年間の首都圏の競売物件は物件数の減少と価格の下落傾向がありましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の時期に入札本数の増加とともに価格が上昇、その後再び入札本数は減少し価格も下落に転じています。コロナ禍以降期間入札の物件数はまだ増加していませんが、物件数の減少傾向はやや収束し、申立件数はほぼ横ばいとなっています。

■入札物件数は10年間で半数に、ただし強制競売事件は減少せず
首都圏で期間入札に付された競売物件数は減少しており、2024年上期の物件数は10年前の約半数に減少しました。途中の2020年は物件数が少なくなっていますが、これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による緊急事態宣言により競売での売却が行われなかった期間があるためです。物件数の減少の一因に、申立がなされて競売開始となった後に取下となる物件が増えていることがありますが、競売申立件数と概ね連動する配当要求終期等の公告物件数は、最近1~2年は大きな増減はありません。事件の種類では、住宅ローンなど主に担保権の実行である不動産競売事件は増えていませんが、強制競売事件はむしろわずかに増加しています。東京23区の期間入札の物件では、5年前2019年上期は不動産競売事件と強制競売事件の件数の比率は10対1程度でしたが、今回2024年上期は5対1程度と、強制競売事件の比率が倍増しています。また、コロナ禍以降、競売物件ではシェアハウスやサブリース物件が目立つように、賃貸用物件の割合がやや増加しています。

■入札本数が大幅に減少、落札率が下落し不売となる物件も増える
今回首都圏の裁判所で全物件が落札となった本庁や支部はありませんでした。落札率が95%を上回ったのは東京地裁本庁(東京都区部および島嶼)、さいたま地裁本庁(さいたま市、川口市、上尾市ほか)、千葉地裁松戸支部(松戸市、柏市、流山市ほか)のみで、これまでならば入札があったと考えられる物件でも価格的に入札が見送られるなど、各裁判所で入札のない物件がやや増えています。
入札本数は顕著に減少しています。2022年には1都3県および茨城県南部では、落札となった物件の入札本数平均はほぼ10本を超えていましたが、今回は概ね首都圏全域で入札本数が減りました。その中で東京地裁本庁は減少幅が小さかったため、今回は東京地裁本庁が平均10.3本と、千葉地裁松戸支部の13.9本に次いで入札本数が多く、コロナ禍で入札本数が増えていた東京周辺部の横浜地裁相模原支部(相模原市、座間市)、さいたま地裁本庁、同越谷支部(越谷市、草加市、春日部市ほか)などで入札本数が大きく減少し、入札数の少なかったさいたま地裁川越支部と同熊谷支部(熊谷市、深谷市、行田市ほか)では5.4本でした。

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