2023年上期 首都圏競売物件 入札本数は減少し、落札価格の上昇は沈静化

2023年上期 首都圏競売物件 入札本数は減少し、落札価格の上昇は沈静化

■概況
新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、競売不動産の入札本数が増加し、価格は大きく上昇し続けていましたが、昨年より入札本数は減少し、落札価格の上昇は沈静化し、やや下落しています。

■物件数の減少傾向が続く
2023年上期に首都圏で期間入札に付された物件数は2022年下期の約99%と概ね同じでしたが、減少傾向は続いており、特に東京都85%、千葉県81%と大きく減少しました。さらに、昨年の同時期(2022年上期)と比較すると首都圏全ての都県で物件数が減少しています。約2年間、競売申立件数が少ない状態が続いており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前は1都3県で月間500物件程度だった競売開始決定の物件数が、現在は350物件程度に減少しているためですが、強制競売事件の件数は減っておらず、住宅ローンを中心とした担保不動産競売事件が減っていることによります。
 

■首都圏ほぼ全ての都県で入札本数が減少し、落札価格の上昇が止まる
1都3県では高い落札率が続いていて、東京地裁本庁(23区および島嶼)と横浜地裁川崎支部(川崎市)では全物件が落札となりましたが、落札となった1物件あたりの入札本数の平均は、減少しはじめています。2015年頃からいったん減少していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大から増加に転じて2021年から2022年には、過去10年間では最も入札本数が多くなっていました。今年は首都圏の各裁判所の本庁支部では2022年下期と比べて大部分の裁判所で入札本数は減少しており、減少しなかった裁判所は入札本数19.7本と非常に多い千葉地裁松戸支部(松戸市、柏市、流山市他)などごく一部でした。
入札本数の増加とともに、急速に上昇していた落札価格(落札となった物件の売却基準価額との乖離の中央値)も下落しはじめていて、都県別では千葉県は2022年下期とほぼ同じ218%だったものの、そのほかの首都圏各都県では下落しています。東京地裁本庁のマンションの1平方メートルあたりの落札価格の中央値は70万円と前回の67.6万円よりやや上昇しましたが、売却基準価額との乖離は143%と小さくなり、前回は落札物件のうち半数に満たなかった売却基準価額の1.5倍未満の価格の落札が、今回は6割を超えています。このように全般に落札価格の上昇は収束してきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前にくらべると落札価格は高額です。

*落札率は取下等となった物件以外、落札価格は売却基準価額との乖離
*対象は首都圏各裁判所、東京都(東京地方裁判所本庁・立川支部)、神奈川県(横浜地方裁判所本庁・川崎支部・小田原支部・横須賀支部・相模原支部)、埼玉県(さいたま地方裁判所本庁・川越支部・熊谷支部・越谷支部)、千葉県(千葉地方裁判所本庁・松戸支部)、栃木県(宇都宮地方裁判所本庁・足利支部・大田原支部)、茨城県(水戸地方裁判所本庁・土浦支部・竜ヶ崎支部・下妻支部)、群馬県(前橋地方裁判所本庁・高崎支部・大田支部・桐生支部・沼田支部)、山梨県(甲府地方裁判所本庁)

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