2024年下期 首都圏競売物件、入札本数の減少と価格下落が続く

2024年下期 首都圏競売物件、入札本数の減少と価格下落が続く

■概況
首都圏の競売物件は入札本数の減少と、落札価格の下落傾向にありますが、2024年下期も同様の傾向でした。各都県とも入札本数はさらに減少し平均10本を下回りました。落札価格は東京都と神奈川県では上期と横ばいでしたが、埼玉県と千葉県で大きく下落しています。物件数は横ばいから微増でしたが、競売申立件数(配当要求終期の公告物件数)は上期とくらべ約9%増、前年同時期の約18%と増加しています。

■入札本数減少と、落札率低下が続く

前回2024年上期は各裁判所で入札本数が大幅に減少し、不売となった物件が目立ち始めましたが、今回も同様の傾向となっています。落札率が95%を上回ったのは東京地裁本庁(東京都区部および島嶼)、千葉地裁松戸支部(松戸市、柏市、流山市ほか)、前橋地裁太田支部(太田市、館林市ほか)のみで、埼玉県の全ての本庁支部では90%を下回るなど、各裁判所で不売物件が増加しています。入札本数も1都3県は全ての本庁支部で前回よりも減少し、平均9.6本と入札本数の多い千葉地裁松戸支部は前年の半数程度に減少、入札本数の少なかったさいたま地裁川越支部(所沢市、川越市、狭山市ほか)では平均4本台となっています。

■1都3県落札価格が下がる

2022年頃をピークに下落に転じた落札価格ですが、今回も1都3県では下落傾向となりました。千葉地裁本庁(千葉市、船橋市、市川市ほか)は大幅に下落し1.6倍を下回り、横浜地裁川崎支部、東京地裁立川支部(多摩地区)は1.2倍台、さいたま地裁川越支部は落札価格と売却基準価額の乖離の平均値が何と1.12倍まで下がりました。一方、首都圏でも1都3県以外の群馬県、栃木県、茨城県は1都3県に比較すると下落幅が大きくない本庁支部が目立ちました。

 

*対象は首都圏各裁判所、東京都(東京地方裁判所本庁・立川支部)、神奈川県(横浜地方裁判所本庁・川崎支部・小田原支部・横須賀支部・相模原支部)、埼玉県(さいたま地方裁判所本庁・川越支部・熊谷支部・越谷支部)、千葉県(千葉地方裁判所本庁・松戸支部)、栃木県(宇都宮地方裁判所本庁・足利支部・大田原支部)、茨城県(水戸地方裁判所本庁・土浦支部・龍ヶ崎支部・下妻支部)、群馬県(前橋地方裁判所本庁・高崎支部・太田支部・桐生支部・沼田支部)、山梨県(甲府地方裁判所本庁)、期間入札の物件は農地競売を除く

*落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合

*落札価格は、売却基準価額に対する乖離率の中央値

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