休刊の続く不動産競売物件情報誌
不動産競売も昔とは違って身近になり、今では競売物件はBITで誰でも簡単に情報を得ることができるようになりましたが、かつては不動産競売で入札しようと思えば、自ら裁判所の閲覧室に行くか、競売物件情報誌を購読するかの概ね二択の方法しかありませんでした。不動産競売情報誌を冊子で発行する会社は関東には4社ありましたが、歴史のある神奈川の特信情報(株式会社インフォスクエア)が休刊、新鋭の千葉の有限会社メディアバックスが破産、そして、約25年発行を続けていたグリーン住宅情報(有限会社グリーン住宅販売)も今年(2023年)休刊となりました。いまではBITがあれば情報は入手できるのですから、このまま競売物件情報誌は消滅してしまうのでしょうか?
競売情報誌はどの程度使われているのか?
ところが実際に継続的に不動産競売で入札を行っている企業の大部分は競売情報誌を利用しています。右の円グラフは2022年に1都3県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の不動産競売物件を落札した、物件数の上位50社のデータですが、50社のうち実に74%の会社が競売情報誌を利用して競売物件を落札しています。おおむね4社中の3社ですので、いかに多くの会社が競売情報誌を利用しているかがわかります。もちろん、不動産競売で入札するために競売情報誌が必ず必要ということではありませんが、多数の会社が利用しているということは、入札の勝負となれば利用してる会社におのずとアドバンテージがあるでしょう。
競売情報誌の魅力はどこに?
競売情報誌の優れた点はいくつも挙げられますが、まず情報の視認性の高さがあります。通常30ページ程度、大型物件の場合100ページを超える3点セットを複数物件確認するのは、当然に時間がかかりますが、物件の概要や、利用状況、賃料、占有関係の対抗力、などもひと目でわかるので、たとえば3点セットを後半まで見て、ようやく事故物件であったり、再建築に問題があることが記載されているページにたどり着いた、などといったことも少なくなるでしょう。また、管轄の地方裁判所や、執行官や評価人により資料の記載の形式にも違いがありますが、それらを共通したフォーマットで整理して記載しているのも便利な点と言えます。さらに、3点セットやBITでは掲載されていない、過去データなど入札の参考となる内容も掲載されていたり、不売により再度売却に付された場合は前回の入札時の情報、申立時期の登記簿の情報、そして、開札の後には落札した会社や次順位価格との差がわかることも人気のひとつです。
現在どのような競売情報誌があるのか
競売情報誌を発行している代表的な会社を地域別に掲載しておきますので、関心のある方はぜひ問い合わせをしてみてください。
会社名 | 所在 | 電話 | ウェブサイト |
株式会社エステートタイムズ | 東京都 | 03-5394-7200 | https://estatetimes.jp |
株式会社メディアエステート | 大阪府 | 06-6453-7908 | https://www.mediaestate.biz/ |
有限会社住宅速報社 | 福岡県 | 092-471-6294 | https://www.jutakusokuho.co.jp/ |