2021年上期競売市場コロナ前と変化、入札本数が急増し価格も上昇

2021年上期競売市場コロナ前と変化、入札本数が急増し価格も上昇

■概況

昨年4月に1回目の緊急事態宣言が発出され、首都圏でも各都県の裁判所ではおおよそ1ヶ月から4ヶ月にわたり不動産競売の売却が行われませんでした。その後、昨年下期は通常のスケジュールで売却が再開されていますが、緊急事態宣言前の下降傾向が一転し、入札数が急増し落札価格が上昇しており、不動産需要の高まりが競売市場にも現れています。

■期間入札物件数 ~物件数には大きな変化無し~

1都3県で期間入札に付された物件数は、昨年下期(開札日2020年7~12月期)よりもわずかに増えましたが、埼玉県以外の都県ではやや減少しており、さらに比較となる昨年下期は7月と8月は開札が行われなかった裁判所が多かったため、物件の数は増えているとは言えずコロナ前の一昨年と同程度です。一時進行が滞っていた競売手続も通常のペースに戻っていますが、今年上期に開札が実施された物件の競売申立から競売開始の時期であった昨年後半から今年前半にかけて、競売開始となった件数がコロナ前の8割程度と少なかったため、今回の入札対象の物件数は増えていません。
物件の落札状況は、一昨年やや下がった落札率は再び上昇して大部分の本庁および支部で90%以上の物件が落札となっています。都県別では、埼玉県の本庁と各支部で落札率の大きな上昇が目立ち、神奈川県は本庁と大部分の支部でやや下落しました。

■入札状況 ~入札本数が増加し、落札価格が上昇~

昨年下期は、1都3県では全ての本庁と支部で落札物件の平均入札本数が大きく増えましたが、今回はさらに増加しました。平均入札本数が最も多かったのは千葉地裁松戸支部(松戸市、柏市、流山市ほか)、次いで東京地裁本庁(東京23区及び島嶼)でしたが、昨年上期と比較すると東京地裁立川支部(多摩地区)やさいたま地裁川越支部(所沢市、川越市、狭山市ほか)では倍増に近い入札となっています。東京地裁本庁では平均入札本数が14本を超え、過去10年で最も入札本数が多かった2014年から2015年にかけての平均入札本数の16本に迫り、物件の種別を土地付建物に限ると当時の15本に並んでいます。落札価格も同様に上昇しました。横浜地裁川崎支部(川崎市)は前回同様に入札本数が増加したにもかかわらず落札価格(売却基準価額との乖離の中央値)がやや下落しましたが、その他の本庁と支部では前回からさらに上昇、1年前と比較するとさいたま地裁川越支部、さいたま地裁本庁(さいたま市、川口市、上尾市ほか)、さいたま地裁越谷支部(越谷市、草加市、春日部市ほか)、千葉地裁松戸支部で大きな上昇幅でした。物件の種別では土地付建物の落札価格が上昇が大きく、全ての本庁および支部で上昇しました。マンションは東京都、埼玉県、千葉県では本庁各支部で落上昇しましたが、神奈川県ではやや下落しました。東京23区のマンションの1平方メートルあたりの落札価格中央値は前回の55.2万円から60.0万円に上昇しました。


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