不動産競売物件、入札数が減り、落札率・落札価格下がる ~エステートタイムズが2019年上期の 1都3県不動産競売統計を発表~

不動産競売物件、入札数が減り、落札率・落札価格下がる ~エステートタイムズが2019年上期の 1都3県不動産競売統計を発表~

■概況

関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は、これまで長く続いていた入札本数の増加と落札価格上昇の傾向は昨年から沈静化し、今年は入札本数が大きく減少、落札価格はやや下落に転じています。物件数は昨年同時期とほぼ同じ程度でした。

■期間入札物件数 ~入札物件数は東京はやや増加、全体では前年並み~

期間入札の物件数は約10年減少していましたが、今年上期は東京地裁本庁(23区及び島嶼)で物件数が増加、1都3県全体では昨年同時期と比べ103%と微増で、ほぼ同じ程度の物件数でした。都県別では東京都が10%以上の増加、神奈川県は約6%減少、埼玉県と千葉県は前年とほぼ同じで、昨年上期は神奈川県の物件数が東京都の物件数を上回っていましたが、今年は再び東京都が最も多く、次いで埼玉県、神奈川県の順でした。その他首都圏各県では茨城県、栃木県、山梨県でやや増加、群馬県は減少しました。

一方、競売開始となった物件数(配当要求終期等の公告数)は東京都、埼玉県、千葉県は昨年上期から下期にかけて増加しましたが、今年上期は昨年同時期と比べて東京都は94%、埼玉県は90%、千葉県は88%と減少、神奈川県は103%とわずかに増加しました。

■入札状況 ~入札本数が減少、落札率も下落~

1都3県では2010年頃から90%以上の落札率が続いていますが、今年上期は大部分の本庁・支部で落札率が昨年同時期と比べてやや下落しました。神奈川県は全ての本庁と支部で下落し、横浜地裁本庁では2013年以来6年ぶりに95%を下回る90.1%の落札率でした。その他首都圏各県も茨城県78%(前年同時期比マイナス3.5ポイント)、群馬県78%(マイナス0.3ポイント)、栃木県71%(マイナス10.7ポイント)、山梨県65%(マイナス14.9ポイント)と落札率が下落し、不売物件が増えています。

落札となった物件の平均入札本数は大きく減少しました。一昨年頃から減少の傾向がありましたが、今年上期は東京都の平均入札本数は8.8本で半期ごと集計では2012年以来7年ぶりに10本を下回り、2015年には平均入札本数が18本を越えていた東京都区部のマンションの入札本数はその後減少し続け今年上期は平均10本でした。本庁・支部単位では横浜地裁小田原支部5.5本(前年同時期比マイナス2.6本)、横浜地裁川崎支部7.7本(マイナス2.6本)、東京地裁立川支部6.7本(マイナス2.4本)、東京地裁本庁9.7本(マイナス2.4本)、横浜地裁相模原支部7.6本(マイナス2.4本)と広範囲にわたり大きく減少しました。1都3県以外の首都圏エリアでも、昨年上期は平均入札本数が7本を超えていた水戸地裁土浦支部が5.9本(マイナス1.5本)、龍ヶ崎支部6.0本(マイナス1.4本)、宇都宮地裁本庁5.6本(マイナス1.5本)と減少しました(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。

2019年上期 不動産競売物件動向

1都3県不動産競売物件(期間入札)

■物件価格 ~落札価格はやや下落~

落札価格はやや下落しました。各都県ともに落札価格と売却基準価額との乖離が縮小し、東京都1.34倍(前年同時期比マイナス0.05)、神奈川県1.45倍(マイナス0.03)、埼玉県1.21倍(マイナス0.07)、千葉県1.58倍(マイナス0.19)でした。落札価格の中央値は東京都2,085万円(前年同時期比マイナス11万円)、神奈川県1,433万円(マイナス34万円)、埼玉県はやや上昇し1,269万円(プラス25万円)、千葉県は大きく下落し868万円(マイナス163万円)でした。東京都区部のマンションの落札価格中央値は、1平方メートルあたり60万円まで上昇していましたが、今年上期はやや下落しました。なお、物件の売却基準価額の中央値は東京都1,490万円(前年同時期比マイナス12万円)、神奈川県897万円(マイナス60万円)、埼玉県905万円(プラス40万円)、千葉県は524万円(マイナス58万円)でした。1都3県以外の首都圏エリアでも、昨年同時期は売却基準価額に対する落札価格の乖離率中央値が1.8倍以上と高かった水戸地裁土浦支部で1.49倍(前年同時期比マイナス0.32)、龍ヶ崎支部1.54倍(マイナス0.33)と大きく下落、その他の多くの本庁・支部でも下落しました。

本庁・支部別の入札状況

競売開始物件数、入札状況推移

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