■ 概況
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の時期に入札本数の増加とともに価格が上昇した競売物件ですが、その後は入札本数が半減し落札価格が低下、不売物件も発生しています。長く減少傾向のあった物件数は横ばいから、やや増加に転じています。


■入札本数減少と、落札率低下が続く
昨年(2024年)から各裁判所で落札率と入札本数が減少しています。1都3県の落札率は東京都では前回とほぼ同じでしたが以前と比べると減少、神奈川県、埼玉県、千葉県ではやや下落しました。3年前(2022年)の同時期では大部分の本庁と支部の落札率は95%を超えていましたが、今回は95%を超えたのは東京地裁本庁(東京都区部および島嶼)と横浜地裁川崎支部(川崎市)のみでした。入札本数も減少し、各都県で過去10年間では最も入札本数が少なくなっています。前回に続き入札本数平均が10本を超えたのは東京地裁本庁のみ、8本台は横浜地裁本庁(横浜市、藤沢市、茅ケ崎市ほか)、千葉地裁松戸支部(松戸市、柏市、流山市ほか)、横浜地裁川崎支部でしたが、松戸支部は一時と比べて3分の1の入札本数に減少しています。また、前回も減少したさいたま地裁川越支部(所沢市、川越市、狭山市ほか)と同熊谷支部(熊谷市、深谷市、行田市ほか)では4.5本と減少しています。


■落札価格、都区内はわずかに上昇、多くの地域で下落
落札価格は埼玉県では前回とほぼ同じでしたが、東京都、神奈川県、千葉県で下落しました。落札価格が最も高かったのは例年同様に千葉地裁松戸支部でしたが大きく下がり1.66倍、東京地裁本庁、横浜地裁本庁、横浜地裁小田原支部(平塚市、厚木市、小田原市ほか)は大きな変動はなく1.46~1.48倍、一時期は2倍を超えていた千葉地裁本庁(千葉市、船橋市、市川市ほか)は1.44倍まで下落しました。下落傾向の大きい埼玉県は、さいたま地裁本庁(さいたま市、川口市、上尾市ほか)はやや上昇しましたが、その他の川越支部、越谷支部(越谷市、草加市、春日部市)、熊谷支部で下落、特に川越支部では1.1倍を下回り1.08倍と、これまではほぼ目にすることのなかった落札価格となっています。

*対象は首都圏各裁判所、東京都(東京地方裁判所本庁・立川支部)、神奈川県(横浜地方裁判所本庁・川崎支部・小田原支部・横須賀支部・相模原支部)、埼玉県(さいたま地方裁判所本庁・川越支部・熊谷支部・越谷支部)、千葉県(千葉地方裁判所本庁・松戸支部)、栃木県(宇都宮地方裁判所本庁・足利支部・大田原支部)、茨城県(水戸地方裁判所本庁・土浦支部・龍ヶ崎支部・下妻支部)、群馬県(前橋地方裁判所本庁・高崎支部・太田支部・桐生支部・沼田支部)、山梨県(甲府地方裁判所本庁)、期間入札の物件は農地競売を除く
*落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合
*落札価格は、売却基準価額に対する乖離率の中央値