不動産競売物件、入札数増と価格上昇が止まる ~エステートタイムズが2018年上期の 1都3県不動産競売統計を発表~

不動産競売物件、入札数増と価格上昇が止まる ~エステートタイムズが2018年上期の 1都3県不動産競売統計を発表~

■概況

関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は、物件数の減少は続いていますが、競売開始物件数は減少せず前年とほぼ同数でした。入札本数の増加と落札価格の上昇傾向は沈静化しつつあります。

■期間入札物件数 ~入札物件の減少は続くが、競売開始物件数は前年並み~

期間入札の物件数は2010年以降減少し続け、今年上期の1都3県の物件数の合計は前年同時期と比べ10%減少しました。各都県で減少し、最も減少幅の大きかった千葉県では15%、東京都及び神奈川県でも10%以上減少しました。これまで首都圏で競売物件数が最も多いのは東京都でしたが、今年上期は神奈川県の物件数が東京都を上回りました。本庁・支部単位では、増加はさいたま地裁本庁と横浜地裁相模原支部のみで、千葉地裁本庁や横浜地裁本庁は大きく減少しました。1都3県以外の首都圏エリアでは、茨城県及び山梨県はほぼ同数でしたが、栃木県、群馬県では昨年に引き続き10~20%減少しました。このように期間入札の物件数は今年上期も減少しましたが競売開始物件数は減少せず、期間入札よりも前の段階の競売開始物件数の指標となる配当要求終期等の公告に付された物件数は1都3県ともに前年同時期とほぼ同数で、東京地裁本庁(東京都区部及び島嶼)では5%増加するなど、半数程度の本庁・支部でやや増加しています。

■入札状況 ~入札数の増加は止まり、落札率が下落した地域も~

前年同様に横浜地裁川崎支部や東京地裁本庁ではほぼ全物件が買受となっており、各裁判所で落札率は高い水準が続いていますが、埼玉県ではさいたま地裁越谷支部が88.5%(マイナス9.3ポイント)、熊谷支部が75.9%(マイナス7.0ポイント)と落札率が下落し、県内各支部の落札率は90%以下となっています。他の首都圏各県の茨城県、栃木県、群馬県、山梨県では80%前後の落札率で前年と大きな変動はありませんでしたが、前年同時期は落札率が高かった水戸地裁龍ヶ崎支部は88%、水戸地裁土浦支部は81%、宇都宮地裁本庁は84%とそれぞれ約8ポイント下落しました。

落札となった物件の平均入札本数は千葉県で増加しましたが、東京都、神奈川県、埼玉県は減少しました。特に埼玉県では7.9本(前年同時期比マイナス1.6本)と大きく減少しています。大きく増加した本庁・支部はなく、さいたま地裁本庁は9.3本(マイナス2.5本)、越谷支部は7.2本(マイナス3.5本)と大きく減少、入札数の少ない横浜地裁横須賀支部とさいたま地裁熊谷支部では5.2本でした。これまで他エリアよりも入札数の多かった東京地裁本庁は2015年以降入札数が減少し12.0本(マイナス1.4本)で横浜地裁本庁12.3本(プラス0.2本)を下回り、マンションは横浜地裁本庁13.4本(マイナス0.2本)、東京地裁本庁12.2本(マイナス1.6本)、千葉地裁松戸支部12.1本(プラス0.4本)、土地付建物は東京地裁本庁12.6本(マイナス2.4本)、千葉地裁松戸支部11.9本(マイナス0.5本)、横浜地裁本庁11.6本(プラス0.8本)のように他裁判所に近い入札数になっています。1都3県以外の首都圏エリアでは水戸地裁土浦支部及び龍ヶ崎支部、宇都宮地裁本庁が7本を超え、前橋地裁本庁、水戸地裁本庁が6本を超えています。(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。

2018年上期 不動産競売物件動向

1都3県不動産競売物件(期間入札)

■物件価格 ~落札価格の上昇傾向は止まる~

入札対象となった物件の売却基準価額の中央値は東京都1,502万円(前年同時期比プラス52万円)、神奈川県957万円(前年同時期比マイナス47万円)、埼玉県865万円(前年同時期比プラス18万円)、千葉県は582万円(前年同時期比プラス46万円)でした。東京地裁本庁では昨年3月から、さいたま地裁では昨年から今年にかけて競売市場性修正率が見直され、基準価額は上昇しています。

物件の落札価格は、千葉県は売却基準価額との乖離率の中央値が1.77倍(前年同時期比プラス0.03)と上昇し、落札価格中央値も1,031万(プラス98万円)に上昇、神奈川県は1.48倍で前年とほぼ同じで、落札価格中央値は1,467万(プラス53万円)でした。売却基準価額の上昇で落札価格との乖離が縮小し東京都と埼玉県では基準価額との乖離率は大きく下落しましたが、落札金額の中央値も東京都は2,096万円(前年同時期比マイナス90万円)と下落し、埼玉県も1,244万円(マイナス7万円)とやや下落しました。上昇傾向が続いていた東京都のマンションの落札価格は、一時下落した前年上期と比べ上昇しましたが横ばい状態、神奈川県と埼玉県のマンションはやや下落しています。1都3県以外の首都圏エリアでは水戸地裁土浦支部及び龍ヶ崎支部で1.8倍以上、水戸地裁、宇都宮地裁、前橋地裁、甲府地裁の各本庁で1.6倍前後の価格で落札されています。

本庁・支部別の入札状況

競売開始物件数と期間入札物件数

東京都区部マンション落札状況

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