震災後入札数一時減少も、 落札率・落札価額ともに高水準が続く、物件数は減少  ~エステートタイムズが2011年上半期の1都3県不動産競売統計を発表~

震災後入札数一時減少も、 落札率・落札価額ともに高水準が続く、物件数は減少  ~エステートタイムズが2011年上半期の1都3県不動産競売統計を発表~

■概況
昨年同時期(2010年1月~6月)の1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の不動産競売の動向は、前年同時期(2009年1月~6月)と比較して顕著な変化があり、落札率が上昇、入札数が増加、落札価額が急激に上昇するという市場回復基調を反映したものでした。一方今年(2011年1月~6月)は、前年同時期(2010年1月~6月)と比べ大きな変化はなく、落札率・落札価額ともに高い状態が続いています。減少傾向にあった物件数は、今年は各都県さらに減少しました。

■期間入札物件数について
昨年同時期では、東京都区部の物件数が大きく減少しましたが、今年は東京、神奈川、埼玉、千葉いずれも大幅に物件数が減少し、前年の25%減でした。1都3県では震災の影響で一部の地域で現況調査の追加はありましたが、期間入札売却実施の中止はなかったため、物件の減少は震災による影響ではなく主に競売申立件数自体の減少によります。

減少傾向は、競売開始決定から売却実施までの日数が短い東京地裁で先行して現れていたと考えられます(東京地裁本庁では6月の開札で平成23年(ケ)200番台の物件が売却されていますが、さいたま地裁と千葉地裁ではこの時点では平成23年の受命物件は越谷支部で若干売却されたのみでした)。

※ 2011年上半期 1都3県不動産競売物件
http://www.atpress.ne.jp/releases/22340/A_1.jpg

■入札状況について
昨年の時点ですでに各都県の落札率は90%前後と高い水準でしたが、今年も同様に高い落札率が続いています。東京地裁は昨年とほぼ同じ93.4%(マイナス0.3ポイント)でしたが、横浜地裁、さいたま地裁、千葉地裁ではいずれも上昇しました。特に東京地裁本庁や横浜地裁本庁では落札率が96%とほぼ全物件落札に近い状態で、他にも横浜地裁川崎支部・相模原支部、さいたま地裁越谷支部などが従来通り高い落札率となっています(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。

次に、落札物件の平均入札本数はさいたま地裁ではやや増加(プラス0.4本)しましたが、他の裁判所では昨年と同数または減少しました。特に東京地裁では8.7本と前年同時期と比べ大きく減少(マイナス2.4本)しました。しかし、入札本数の減少は別表(落札物件の月別平均入札本数)で示されているように東日本大震災直後が入札期間にあたる4月~5月開札の時期に急激に発生しているため、震災による一時的な影響があったと考えられます。

落札価額は依然として高額の傾向が続いています。売却基準価額のメジアンは全体では856万円と前年よりわずかに上昇(プラス10万円)、東京と埼玉で上昇し、千葉は前年並み、神奈川で下降しました。落札価額の売却基準価額との乖離は、以前から高い傾向のある千葉地裁で1.61倍と前年並み(プラス0.01ポイント)、横浜地裁は1.44倍と上昇(プラス0.04ポイント)、他県と比較して低かったさいたま地裁は大きく上昇し1.45倍(プラス0.13ポイント)、東京地裁はやや下降して1.38倍(マイナス0.02ポイント)でした(落札価額は売却基準価額の乖離のメジアンを比較)。

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