■物件の概要
件外建物とは、不動産競売では馴染みの深い語であるが、土地付建物のうち土地のみが競売となった場合のように、受命物件の土地上にあるが売却対象外の建物のことで、ケースとしては少ないがマンションのような区分所有建物でもありえる。中野区東中野4丁目、東中野駅5分に所在の総戸数20戸の昭和47年築のマンションなのだが、この物件は相当に珍しいもので、売却対象が1階部分の2Kの専有部分2戸と、マンション全体の敷地なのである。もちろん、残りの18戸は第三者が所有している売却対象外で各戸月額5千円の地代で対抗力を持つ賃借権だ。売却対象の2戸は賃貸に供しており2戸の合計月額賃料は約15万円でこちらも対抗力を持つ賃借権。賃料収入で考えると2戸の賃料と地代で年間で300万円弱となる。マンションの管理は自主管理で、管理費は月額2,000円、修繕積立金は10,000円。土地は1種中高層住専地域の100坪余で接面道路は3.2mの2項道路、建物は現行の容積率を超過した既存不適格となっている。評価額は土地は平米あたり73万円で約2億4千万から底地割合30%で減価して約6400万、建物2戸は約120万に敷地利用権価格を加算し積算価格は8847万、収益価格は6242万で評価し、最終的には大きな修正はなく売却基準価額57,170,000円。
■入札の結果
短期間では扱いにくい物件ではあるが入札はあった。入札は1本、都内の不動産会社が買受可能額に近い46,600,000円で落札した。
東京地方裁判所本庁2025年5月28日開札 令和6年(ケ)424号事件