不動産競売物件、高い落札率が続き都区内は全物件が買受  ~エステートタイムズが 2017年上期の1都3県不動産競売統計を発表~

不動産競売物件、高い落札率が続き都区内は全物件が買受  ~エステートタイムズが 2017年上期の1都3県不動産競売統計を発表~

■概況
関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は、高い落札率と落札価格が続いていますが、マンションの入札数増加と落札価格上昇傾向はゆるやかに落ち着きをみせています。

■期間入札物件数
期間入札の物件数は2010年以降減少し続けています。減少幅は2015年以降は小さくなっており、今年上期の1都3県の物件数の合計は前年同時期と比べ7%減少しました。都県別では埼玉県は14%、東京都は9%減少しましたが、神奈川県・千葉県は前年同時期とはほぼ同数で、2016年下期と比較すると増加しています。1都3県以外の首都圏エリアでは、茨城県はほぼ同数でしたが栃木県、群馬県、山梨県は20~25%減少しました。

■入札状況
落札率は高い水準が続いていますが、下落した支部が多かった昨年とは異なり、大部分の本庁・支部で落札率が再び上昇しました。ただし、競売市場性減価率の見直されたさいたま地裁本庁・川越支部・熊谷支部では下落しました。東京地裁本庁(東京都区部及び島嶼)ではほぼ全物件が落札となり、入札のなかった2物件も特別売却により売却となりました。1都3県以外の首都圏エリアでは宇都宮地裁本庁が91.8%(前年同時期比プラス17.3ポイント)と大きく上昇し、茨城県は県南の水戸地裁龍ヶ崎支部で95.7%(プラス4.8ポイント)・土浦支部で89.7%(マイナス5.8ポイント)と高い落札率が続いています。
落札となった物件の平均入札本数は千葉県は増加しましたが、東京都、神奈川県、埼玉県は減少しました。本庁・支部の単位では、千葉地裁松戸支部が11.8本(前年同時期比プラス1.2本)、さいたま地裁越谷支部が10.7本(プラス1.5本)と増加しましたが、多くの本庁・支部で減少しました。入札の多い東京地裁本庁のマンションは入札本数が増加し続け、2015年には平均入札本数が18本に達していましたが、やや減少し今年は13.8本(マイナス1.9本)でした。
(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。

2017年上期 不動産競売物件動向

1都3県不動産競売物件(期間入札)

■物件価格
入札対象となった物件の売却基準価額の中央値は東京都1,450万円(前年同時期比プラス116万円)、神奈川県1,004万円(プラス70万円)、埼玉県847万円(プラス190万円)と上昇し、千葉県は前年とほぼ同額の536万円(マイナス3万円)でした。埼玉県はさいたま地裁本庁、川越支部、熊谷支部で昨年半ばから評価時の競売市場性減価率が見直されたために売却基準価額が大きく上昇しました。東京地裁本庁でも今年3月から競売市場性減価率が見直されていますが、今年上期に開札期日の到来した物件はまだわずかであり、今回は大きな影響はありません。
物件の落札価格(売却基準価額との乖離率中央値)は千葉県が1.74倍(前年同時期比プラス0.09)と上昇しましたが、東京都、神奈川県は前年とほぼ同様でした。埼玉県は1.43倍(マイナス0.12)と下落しましたが、これは売却基準価額が上昇した影響によるもので、落札価格の中央値は1,073万円から1,251万円(117%)と上昇しています。土地付建物とマンションを比較すると、これまで東京地裁本庁のマンションの落札価格の上昇が顕著でしたが今年は1.61倍(マイナス0.09)と下落し、土地付建物の価格が1.67倍(プラス0.08)と上昇しました。以前から高い千葉県の土地付建物の落札価格がさらに上昇した一方、マンションは下落しました。1都3県以外の首都圏エリアでは水戸地裁土浦支部が1.85倍(プラス0.23)、宇都宮地裁本庁が1.72倍(プラス0.23)、前橋地裁本庁が1.61倍(プラス0.28)と落札価格が上昇しました。

本庁・支部別の入札状況

物件種類別の入札状況

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