2022年下期首都圏競売物件、物件数が減少、入札本数の増加はやや沈静化したが、高い落札価格は続く

2022年下期首都圏競売物件、物件数が減少、入札本数の増加はやや沈静化したが、高い落札価格は続く

■概況
2022年は競売物件数が減少しました。新型コロナの感染以来続いていた入札本数(落札物件の平均入札本数)の大きな増加は止まった様子ですが、落札価格(落札価格の売却基準価額に対する乖離率の中央値)の上昇傾向はやや緩やかになりつつも続いています。

■期間入札物件数 ~各都県で減少傾向~
期間入札に付された物件数は、前年の同時期(開札日2021年7~12月期)と比較すると首都圏すべての都県で物件数が減少しました。上期(開札日2022年1~6月期)との比較でも千葉県以外の都県では減少し、首都圏各都県で競売物件が減少しています。

■落札率 ~高い落札率は続くが、やや下落したエリアあり~
上期同様に高い落札率が続いていますが、わずかに落札率が下落したエリアがありました。今回首都圏で全物件が落札となったのは水戸地裁龍ヶ崎支部のみで、各裁判所で不売物件が発生しています。最も下落幅の大きかった横浜地裁小田原支部は前回とくらべてマイナス5ポイントでしたが落札率は90%、次いで下落の大きかったさいたま地裁越谷支部は落札率は94%(マイナス4ポイント)と依然高い落札率は続いています。都県別では1都3県は東京都99.6%、千葉県96.7%、埼玉県96.3%、神奈川県91.6%、それ以外の県では茨城県86.1%、群馬県87.3%、栃木県78.9%、山梨県79.8%でした。

■入札本数 ~入札本数の増加は止まる~
新型コロナ感染症による緊急事態宣言以降、入札本数は大きく増加し続けていましたが、2022年下期はやや下落となりました。東京都ではすでに上期から減少していましたが、今回はさらに減少し12.1本(マイナス0.7本)、千葉県ではマイナス2.7本で14.1本となりました。しかし、新型コロナ感染症発生前と比べると依然として入札数は多く、2021年と2022年の比較でも東京都以外の首都圏各県では増加しています。本庁・支部単位では、上期に落札物件の平均入札本数が25本を越えていた千葉地裁松戸支部では8.5本の減少でしたが、依然として1都3県では最も入札が多く17.3本、次いで横浜地裁本庁が16.8本、さいたま地裁越谷支部15.2本でした。

■落札価格 ~上昇傾向は続き、千葉県、神奈川県はさらに上昇~
上昇が続いている落札価格ですが、今回もその傾向は続いています。昨年、落札価格の売却基準価額に対する乖離率の中央値が2倍を超えた千葉県では、今回は218%とさらに上昇(プラス15ポイント)し、神奈川県も177%(プラス9ポイント)と上昇しました。埼玉県は165%と上期に比べ下落しましたが、前年と比べると20ポイント上昇しています。東京都は上期とほぼ同様で、落札価格の売却基準価額との差では1都3県では東京地裁本庁が最も低く、次に東京地裁立川支部が続いています。首都圏のその他の県でも茨城県、栃木県、群馬県は上昇しましたが、山梨県のみ下落しました。年単位での比較では、2022年は首都圏全ての都県で落札価格は上昇しています。

*物件数は一般の期間入札物件(農地競売のスケジュールで実施される事件を除いたもの)
*落札率は入札対象となった物件のうち入札のあった物件の割合
*入札本数は入札のあった物件の平均入札本数

各本庁支部の管轄エリアはこちらをご参照ください

 

 

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