関東エリアの不動産競売情報を扱う株式会社エステートタイムズ(所在地:東京都豊島区、代表:阿南 順也)が、2014年上期の不動産競売統計(期間入札)を発表しました。
■概況
関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は2013年上期、落札価格が大幅に上昇しましたが、今年もマンションを中心に落札価格の上昇が続いています。入札本数の増加と高い落札率はこれまで通り続いており、東京都区部では落札率は99%、平均入札本数は14本に達しています。
■期間入札物件数
期間入札の物件数は2010年以降減少し続けており、今期も各都県で減少しました。東京地裁本庁(23区及び島嶼)は2013年下期にはやや物件数が増加し、2014年上期は前年同時期と比較して7%の小さな減少幅でしたが、東京地裁立川支部(多摩地区)で30%減少したために東京都全体では14%の減少でした。2011年以降比較的物件数の変動が小さかった神奈川県は横浜本庁・川崎支部で物件数が30%減少したため21%の減少、また埼玉県と千葉県でも大幅に物件数が減少しました。首都圏のその地域、群馬・栃木・茨城・山梨の各県では昨年同時期は物件数が減少しましたが、今期は大きな変動はありませんでした。
2014年上期 不動産競売物件動向
1都3県不動産競売物件(期間入札)
■入札状況
落札率は2010年以降各都県で高い水準が続いていますが、今期も多くの裁判所でさらに落札率が上昇しました。特に東京地裁本庁(99.1%)、横浜地裁川崎支部(98.6%)、さいたま地裁本庁(98.4%)など東京都区部とその隣接エリアで非常に落札率が高くなっています。そのほかの本庁・支部でも高い落札率や落札率の上昇が続いており、これまで落札率90%を下回ることが多かった東京地裁立川支部や横浜地裁小田原支部でも90%を超えました。首都圏の1都3県以外のエリアでは茨城県(水戸地裁龍ヶ崎支部・土浦支部)、群馬県(前橋地裁太田支部)など千葉県・埼玉県との隣接エリアでは落札率は高く、特に龍ヶ崎支部では94.2%(プラス4.8ポイント)と高い落札率でした。茨城・栃木・群馬・山梨県のその他の多くの本庁・支部では落札率は70~80%程度と前年と大きな変化はありませんでしたが、これらの地域でも物件種別をマンションに限れば大部分の物件が落札されています。
入札本数は各都県で前年同時期よりも増加しています。特にマンションの入札本数の増加が大きく、東京都1.6本、神奈川県1.4本、埼玉県2.6本、千葉県1.7本とそれぞれ増加、土地付建物は東京都0.1本、神奈川県0.2本、埼玉県0.4本、千葉県0.6本の増加でした。
(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。
■物件価格
入札対象となった物件の価格(売却基準価額)の中央値は前年とほぼ同様で865万円でした。都県別では、東京都1,358万円、埼玉県722万円、千葉県513万円はほぼ前年並み、神奈川県は67万円上昇の996万円でした。2013年上期急激に上昇した物件の落札価格(対売却基準価額の乖離率中央値)はさらに上昇し各都県でその中央値が1.5倍を超えました。マンションは東京都では1.62倍(前年同時期比プラス0.15)、神奈川県1.61倍(プラス0.12)、埼玉県1.56倍(プラス0.06)、千葉県1.50倍(プラス0.14)と落札価格の上昇が顕著です。特に東京地裁本庁1.66倍(プラス0.1)、横浜地裁本庁1.81倍(プラス0.19)、さいたま地裁本庁1.7倍(プラス0.08)、さいたま地裁川越支部1.62倍(プラス0.12)と東京都区部とその周囲の落札価格が高くなっています。マンション同様に土地付建物も各都県で落札価格が上昇していますが、マンションに比べ上昇幅は小さく、東京地裁本庁・千葉地裁松戸支部など一部を除き多くの本庁・支部では2013年下期からはやや下落傾向に転じています。昨年同時期は落札価格が上昇した1都3県以外、群馬・栃木・茨城・山梨の各県の多くの本庁・支部で落札価格は横ばいもしくはやや下落しました。