不動産競売物件、過熱した入札傾向はやや沈静、都区部は依然入札数増加  ~エステートタイムズが2015年上期の1都3県不動産競売統計を発表~

不動産競売物件、過熱した入札傾向はやや沈静、都区部は依然入札数増加  ~エステートタイムズが2015年上期の1都3県不動産競売統計を発表~

関東エリアの不動産競売情報を扱う株式会社エステートタイムズ(所在地:東京都豊島区、代表:阿南 順也)が、2015年上期の不動産競売統計(期間入札)を発表します。

2015年上期 不動産競売物件動向

■概況
関東エリア1都3県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の不動産競売物件は、物件の減少と高い落札率は続いていますが、落札価格や入札本数は昨年や一昨年のような上昇傾向はなく、地域によってはやや下落や減少がありました。しかし、東京都区部では昨年に引き続き落札率は99%、平均入札本数はさらに増加し16本に達し、物件の価格も上昇しています。

■期間入札物件数
期間入札の物件数は2010年以降減少し続けており、今期も各都県で減少しました。最も物件数が減少したのは東京都で前年同時期より25%減少しました。1都3県の中では最も減少幅の小さかった千葉県では前年同時期と比較し10%の減少でしたが2014年下期よりも物件数は増加しています。本庁・支部単位でも多くで減少し、特に東京地裁本庁(都区部及び島嶼)や横浜地方裁判所小田原支部・横須賀支部、さいたま地方裁判所越谷支部では30%以上減少しました。首都圏のその他の各県、群馬県・栃木県・茨城県・山梨県でも物件数は減少しました。
東京地裁本庁では前年比31%減と期間入札の物件数が大きく減少しましたが、近年の都市部の期間入札の物件数減少の背景である入札以前の任意での売買が成立した競売事件の取下の増加だけではなく、競売事件の件数自体についても、2010年~2012年は大きく変化のなかった競売開始物件数の指標となる配当要求終期等の公告に付された物件数が2013年(前年比マイナス17%)2014年(前年比マイナス21%)と減少し、2015年上期も前年同時期と比較して9%減少しています。

■入札状況
落札率は2010年以降各都県で高い水準が続いていますが、1都3県全体では前年同時期よりやや減少しました。東京都区部及びその隣接エリアでは昨年同様に大部分の物件が落札されていますが、本庁・支部単位では都内より40~50km程度離れた地域を管轄エリアに含む横浜地裁横須賀支部・小田原支部、さいたま地裁熊谷支部などで落札率が下落しました。1都3県以外の首都圏エリアでは水戸地裁土浦支部が91.1%(プラス3.1ポイント)、今期物件数の大きく減少した宇都宮地裁本庁が90.9%(プラス10.6ポイント)と落札率90%を超えていますが、最も低かった山梨県では前年比65%(前年比マイナス7.6ポイント)、栃木県、群馬県は74%、茨城県は85%でした。
落札された物件の平均入札本数は、入札の多く集まる東京地裁本庁、横浜地裁川崎支部、横浜地裁本庁ではさらに増加しましたが、その他の本庁・支部の多くでは前年同時期と同様もしくはやや減少しました。物件の種類では東京都は土地付建物・マンションともに増加しましたが、埼玉県は土地付建物は減少しマンションが増加、神奈川県と千葉県では土地付建物・マンションどちらも減少しました。1都3県以外の首都圏エリアでも大部分の本庁・支部で入札本数は前年と同程度もしくは減少しました。
(落札率は期間入札の公告に付された物件中、取下等で開札の対象外となった物件を除いた落札物件の割合)。

2015年上期 不動産競売物件動向

1都3県不動産競売物件(期間入札)

■物件価格
入札対象となった物件の価格(売却基準価額)の中央値は、近年は大きな変化はありませんでしたが、今期は916万円と前年同時期より6%上昇しました。都県別では東京都1,474万円(プラス116万円)、神奈川県1,062万円(プラス66万円)、埼玉県743万円(プラス21万円)、千葉県530万円(プラス17万円)と各都県で上昇し、東京都は前年同時期比108.5%と大きく上昇しました。売却基準価額の上昇については、類似した物件の2014年開札時と2015年開札時の評価額を比較すると、評価時期の地価公示価の変動および、取引水準の変動により価格が上昇したケースが多くなっています。
物件の落札価格(対売却基準価額の乖離率中央値)は千葉県と埼玉県は上昇しましたが、東京都、神奈川県は下落しました。本庁・支部ごとでは、昨年は多くの本庁及び支部で上昇した落札価格でしたが、今期は千葉地裁本庁・松戸支部、さいたま地裁本庁・越谷支部、横浜地裁川崎支部以外では下落しました。東京地裁本庁では売却基準価額に対する落札価格の乖離率は1.61倍(マイナス0.04)とやや下落しましたが、売却基準価額が約10%と大きく上昇したため、落札価格の中央値は2,300万円と前年同時期と比較して132万円上昇しました。
物件の種類別ではマンションの落札価格は埼玉県では1.63倍(プラス0.07)と上昇、東京都は1.53倍(マイナス0.09)、神奈川県1.49倍(マイナス0.12)、千葉県1.47倍(マイナス0.03)と下落、土地付建物は千葉県で1.88倍(プラス0.11)と上昇し、東京都は1.36倍(マイナス0.03)、神奈川県1.38倍(マイナス0.05)、埼玉県1.48倍(マイナス0.02)と下落しました。1都3県以外、群馬・栃木・茨城・山梨の各県の多くの本庁・支部でも落札価格は昨年同様もしくはやや下落しました。

本庁・支部別の入札状況

物件価格の上昇

東京都区部の物件減少

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